2010年3月15日月曜日

米系国際NGO事務所襲撃テロ事件の発生に伴う注意喚起

2010.03.15



~渡航情報(スポット情報)~



(件名)

パキスタン:米系国際NGO事務所襲撃テロ事件の発生に伴う注意喚起

    

(内容)

1.3月10日(水)、北西辺境州マンセーラ郡オギ支区に所在する米系国際NGO事務所に対し、銃撃及び手榴弾による襲撃事件が発生し、6人が死亡、7人が負傷しました。報道等によれば、この襲撃では、12人程度の武装集団が同事務所に押し入ったのち、事務所職員を一室に集め、一人ずつ殺害した後に爆弾にて事務所建物を破壊したとのことです。事件の背景等詳細については不明ですが、襲撃された米系国際NGOは1992年からパキスタンで活動しており、主に女性や子供に対する援助活動等を実施していた模様です。



2.現在、パキスタンではNGOを含む国際機関をターゲットとするテロ事件が多発しています。2008年2月には上記1.の事件が発生した北西辺境州マンセーラ郡にて欧州系NGO事務所襲撃事件(3人死亡、8人負傷)、2009年10月5日には首都イスラマバードに所在する国連世界食糧計画(WFP)事務所自爆テロ事件(5人死亡、7人負傷)が発生したほか、本年2月18日にはバロチスタン州キラ・サイフッラー県にて米系援助団体のパキスタン人職員4人が誘拐されたと見られる事件が発生しました。また、北西辺境州及び連邦直轄部族地域(FATA)においては学校をターゲットとするテロ事件が頻発しており、2009年には同州全体で140の学校(うち女子校は40校)が爆破され、FATAでは48の学校(うち女子校は14校)が襲撃されました。過去の傾向を踏まえれば、パキスタン国内で女性や教育支援活動を実施しているNGOや国際援助機関が、タリバーン等、イスラム過激主義を標榜する武装勢力の標的となる可能性もあります。



3.現在、FATAで実施されている政府軍による軍事作戦の継続に伴い、パキスタン全土の大部分を含む様々な地域において報復テロの発生等情勢が更に悪化する可能性が高いと考えられます。このため、パキスタンについては、上記北西辺境州、FATA及び主要都市を含む全土に危険情報を発出しています。同危険情報を御参照の上で、パキスタンに渡航・滞在される邦人の皆様におかれては、テロ事件など不測の事態に巻き込まれることのないよう、以下の諸点につき今一度十分な注意を払い、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動を心掛け、各自安全対策・危機回避に十分留意してください。さらに、昨年10月19日付けスポット情報「パキスタン:テロや誘拐に巻き込まれないための基本的心構え」及び同12月9日付けスポット情報「パキスタン:主要都市における爆弾テロ事件の発生に伴う注意喚起」等の累次「スポット情報」もご参照下さい。



(1)所在地におけるテロ事件の発生状況、発生の可能性の有無等、テロ事件に巻き込まれるおそれがないかについて、あらかじめできるだけ具体的に承知しておく。テロの標的となりやすい場所(軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等)、国連関係機関、政府機関、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、宗教関連施設)にはできる限り近づかない。また、車両等で移動する際にも、同種の場所を避けるよう心掛ける。



(2)パキスタンで各種事業を行う場合には、安全上の情報収集・分析を常に怠らないことはもちろんのこと、その事業実施の必要性とリスクを比較の上、実施するとの結果に至った場合には、事務所及び活動現場の警備を強化する等十分な安全対策を講ずる必要がある。



(3)最近の傾向として、テロリストが治安関係者の制服を着用してテロを実行するケースが増加している。自宅及び勤務先の警備員に対しては、不審者の侵入を避けるため、不用意に侵入させることのないよう、来訪者に対しては必ず氏名、所属先、用件等を確認するよう徹底する。



(4)パキスタンの各地において誘拐事件が発生している。誘拐予防のためには、自らの身は自らが守る心構えを持ち、誘拐の危険度に応じた対策(通勤時の安全対策、住居の警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要。特に海外で安全に暮らすためには、(イ)目立たない、(ロ)用心を怠らない、(ハ)行動を予知されない、という3原則を守る。日頃から行動パターン(通勤時間、使用する道や施設)を常に変え、ねらわれにくくすることが大切。



(5)緊急事態が発生した場合、自らの安否や所在につき家族又は勤務先に至急一報することが重要。携帯電話がある場合は、日頃から携帯電話を常時携行し、家族、勤務先又は大使館等の番号をあらかじめ携帯電話に番号登録しておく。



(6)テロリストは身近なところに潜んでいる。目立つ行動や騒がしい行為は極力控える。



4.なお、爆弾事件・誘拐事件に関しては、以下も併せて御参照ください(パンフレットは、http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph.htmlに記載)。

 (1)2009年6月1日付広域情報「爆弾テロ事件に関する注意喚起」

 (2)2009年6月1日付広域情報「誘拐に対する注意喚起」

 (3)パンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」

(4)パンフレット「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」

(5)パンフレット「海外における誘拐対策Q&A」



(問い合わせ先)

○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)

 電話:(代表)03-3580-3311 (内線)3100