2009年10月19日月曜日

テロや誘拐に巻き込まれないための基本的な心構え

1.在留邦人の皆様に対し、累次お知らせにてお伝えしておりますが、現在、パキスタン全土において過激派武装勢力等による爆弾テロ事件等が多発しています。

(1)10月5日(月)午後0時30分頃

 イスラマバード市内F8/3地区に所在する国連世界食糧計画(WFP)事務所における自爆テロ事件(5名死亡、7名負傷)

(イ)自爆テロ犯は治安関係者の制服を着ていた模様であり、複数の警備員が常駐していたにもかかわらず、建物内に侵入し犯行を実行しています。

(ロ)後に、パキスタン・タリバーン運動(TTP)により、『外国や地元の標的に対して、今後も同様の攻撃を行う。米国のために働くすべての個人や組織を標的にする。既に国内各地に自爆テロ要員を送り込んだ。』との犯行声明が出されたとの報道もなされています。


(2)10月9日(金)午後0時15分頃

  北西辺境州ペシャワル市のハイバルバザールにおける自動車爆弾テロ事件

(48人死亡、148人負傷)



(3)10月10日(土)午前11時30分頃

  パンジャブ州ラワルピンディ市の陸軍司令部(GHQ)における銃撃・立て籠もり事件(11人死亡、5人負傷)

 (イ)過激派武装集団は軍の迷彩服を着用、十分な火器を所持していた模様。

 (ロ)当初から人質の奪取、籠城が画策されていた可能性は高い。


(4)10月12日(月)午後1時15分

  シャングラ郡アルプル支区のアルプリ・バザール検問所における自爆テロ事件

(41人死亡、45人負傷)


(5)10月15日(木)午前8時頃

北西辺境州コハート郡サダル警察署における自動車爆弾テロ事件

(11人死亡、22人負傷)


(6)10月15日(木)午前9時10分~30分頃

  パンジャブ州ラホール市内の連邦捜査庁(FIA)ビル、エリート・フォース(特殊部隊)訓練センター及びマナワン警察学校に対する同時多発テロ事件(15人死亡、負傷者数多数)

 (イ)警察関連施設3カ所が立て続けに襲撃を受け、治安部隊との間で銃撃線となった。

 (ロ)パキスタン・タリバーン運動(TTP)により犯行声明が出される。


(7)10月16日(金)午後1時

北西辺境州ペシャワル市内キャントメント地区における自動車爆弾テロ事件

 (12人死亡、負傷者数不明)


2.また、イスラマバード市内F11/2地区に所在する検問所において、過激派武装集団のテロ要員2名が逮捕され、自爆ジャケット、手榴弾等が押収されました。なお、残る1名が自爆ジャケットを纏ったまま、その場から逃走しているとの報道もなされており、引き続き注意が必要となっています。


3.さらに、今後予定されている政府軍による軍事作戦の継続や拡大に伴い、パキスタン全土の様々な地域において報復テロ及び誘拐事件の発生等情勢が更に悪化する可能性が高いことから、当面の間、日常行動にあたっては細心の注意を払い、高い危機意識を持って行動いただくことが重要となります。


4.在留邦人の皆様におかれては、テロ事件及び誘拐事件など不測の事態に巻き込まれることのないよう、以下の諸点につき今一度十分な注意を払い、最新の情報にも留意しつつ、慎重な行動に心掛け、個々人における安全対策・危機回避に十分注意してください。

(1)テロの標的となりやすい場所(軍・警察等治安当局施設(含む車両、検問所等)、国連関係機関、政府機関、米国系有名ホテルやファースト・フード店を含む欧米関連施設、宗教関連施設)にはできる限り近づかない。また、車両等で移動する際にも、同種の場所を避けるよう心掛ける。

(2)集会やデモが行われている場所には、決して近づかない。

(3)マーケットやバス停など人が集まる場所での用事は、短時間で効率的に行なうとともに、常に周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場から離れる。

(4)日頃から、自宅、勤務先等の近辺に、テロ事件の標的となり得る可能性の高い場所乃至は施設があるか、詳細を承知しておくことも重要です(「イスラマバード市内におけるテロの標的となり得る施設等所在地」参照)。

(5)最近のテロ事件の傾向として、午前中から日中にかけての時間帯に事件が発生していることも多く見られることから、買い物等、外出時の行動は極力短時間とする等十分な安全対策を講ずる。

(6)現在の治安情勢を踏まえ、警察当局は厳戒態勢を敷いて対応しており、検問所において車両のセキュリティーチェックを厳重に実施している。従って、右により検問所に待機車両が渋滞となるケースが散見されるが、極力渋滞の多い検問所付近の通行は避ける等心掛ける。なお、当地外交団地区についても、同様の事態が発生しているので、入域する時期・時間等に十分注意する。

(7)最近の傾向として、テロリストが治安関係者の制服を纏ってテロを実行するケースが増加している。自宅及び勤務先の警備員に対しては、不審者の侵入を避けるため、不用意に侵入させることのないよう、来訪者に対しては必ず氏名、所属先、用件等を確認するよう徹底する。

(8)パキスタンの各地において誘拐事件が発生している。誘拐予防のためには、自らの身は自らが守る心構えを持ち、誘拐の危険度に応じた対策(通勤時の安全対策、住居の警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要。特に海外で安全に暮らすためには、①目立たない、②用心を怠らない、③行動を予知されない、という3原則を守る。日頃から行動パターン(通勤時間、使用する道や施設)を常に変え、狙われにくくすることが大切。

(9)緊急事態が発生した場合、自らの安否や所在につき家族または勤務先に至急一報することが重要。携帯電話がある場合は、日頃から携帯電話を常時携行し、家族、勤務先または大使館等の番号を予め携帯電話に番号登録しておく。

(10)当地は治安情勢が急激に悪化する可能性が高い。余儀なく自宅ないしは勤務先等に留まらざるを得ない状況も想定されるので、少なくとも3日~1週間程度の籠城が可能となるよう日頃から食料品、飲料水及び発電機用燃料等を保管すること。

以上